島村楽器公式ブログ

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ピアノ再生物語「ピアノはこうして生まれかわります」第16回「キャプスタンボタン調整・ならし・あがき」

みなさんこんにちは♪
島村楽器ピアノセレクションセンター ピアノ調律師のカワイです。

16回目となります今回は、整調「キャプスタンボタン調整・ならし・あがき」のご紹介をさせて頂きます。
前回ハラキの記事で、整調のキーワードに「力を伝える」という言葉がありました。整調とは、個々の作業で成立するのではなく、全てが繋がっています。
よって、今回ご紹介する内容も前回からの「力を伝えるリレー」になります。

前回記事をまだご覧頂いていない方はぜひチェックしてみてください♪

キャプスタンボタン調整

まず、キャプスタンボタンの場所の位置をもう一度おさらいしましょう。

キャプスタンボタンとは、前回記事のウィペンと接している、鍵盤とアクションの繋ぎ目の部品です。このキャプスタンボタンはネジ式になっており、左右に回転させることで高さを変えることができます。鍵盤を操る演奏者の力が鍵盤からウィペンに正確に力を伝えるために、キャプスタンボタンが「ウィペンを持ち上げないけれども触れている高さ」に揃える事が大切です。夫婦同様に、「付かず離れず」の距離を作ることが大切なのですね・・・。(笑)I

ならし

続いて「ならし」に移りますが、ならしとは、鍵盤の高さを揃える作業のことを言います。
使用する道具はコチラです!

上から

  1. ならし定規
  2. ピンセット
  3. スケール(定規)
  4. バランスパンチング

と言います。

まずは、現時点での鍵盤の高さをスケールで確認します。


タッチやピアノの状態によっても寸法は1〜3ミリ程度変わります。
そのピアノに合う寸法が決定したら、何箇所かに基準値の鍵盤を作ります。
そしてその基準値の鍵盤に「ならし定規」を当てて、鍵盤の高さを揃えていくのですが・・・ 

鍵盤の高さを変えるために登場するのが上記写真の「バランスパンチングクロス」です!!
カラフルなドーナッツのようで可愛いですね♪

パンチングは色によって厚さが異なり、当社で使用しているパンチングは

灰色 0.75mm
白色 0.60mm
鶯色 0.43mm
ピンク 0.30mm
黄色 0.15mm
水色 0.08mm
透明 0.04mm

という厚さになっております。
これを鍵盤の裏に入れることで高さを変えていきます。

0.04mmの高さを変えるという作業は本当に繊細な作業になりますので、一台をキッチリ仕上げるためには時間と手間がかかります。
しかし、ピタッと鍵盤の高さがそろった鍵盤は、バラバラの鍵盤とは天と地の差があるといっても過言ではない程に弾き心地が良いのです!!

あがき

続いて「あがき」に移りましょう!
あがきとは、「鍵盤の深さ」をそろえる作業になります。深さというのは鍵盤の高さが決まってからでないと調整ができません。
よって、ならしを先に調整してからあがきというようにリレーの順番が決まっております。ひとつずつ確実に調整してこそ、弾きやすいピアノに近づくことが出来るのです。
あがきに使用する道具は・・・


  • フロントパンチング
  • あがき定規(手に持っているもの)

となります。こちらでもカラフルドーナッツを使用しますが、バランスパンチングとは大きさが異なりますね。
鍵盤を弾く時に触れる部分の真下にあるのがフロントパンチングです。

こちらも色で厚さが異なり、その鍵盤ごとに深さをあがき定規で計測してパンチングを選んで入れていきます。目安の基準値として深さは10mmに揃えます。

当ピアノセレクションセンターでは、そのピアノのベストのタッチはどれなのかを日々研究しております。
現状に満足せずに、改善できる所を常に捜し求めることは技術者にとっての喜びです!
ピアノのタッチを改善したいと思っていらっしゃるお客様はぜひピアノセレクションセンターまでお問い合わせください♪♪

次回調律師ハラキによる整調紹介は、レットオフ・ハンマーストップからはじまり・・・ラスト仕上がりまでをまとめてご紹介いたします!お楽しみに!!

島村楽器ピアノセレクションセンターについて

ピアノセレクションセンターは、専用工房を併設したアコースティックピアノ専門のショールームです。
フロアには、新品・中古ピアノ、アップライト・グランドピアノを合わせて常時100台以上を展示しております。また、専用工房ではピアノの調整・点検・修理を行い、アフターフォローにもお応え致します。

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