島村楽器公式ブログ

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2013春 KORG/コルグ新製品発表会レポート Vol.1 シンセ関連編

こんにちはサカウエです。

先日、東京・下高井戸のスタジオ「G-ROCKS」で開催された、株式会社コルグさんの新製品発表会におじゃましてまいりました(当日、都内は大雪の予報だったのですが無事開催されてよかったです)

レポート第一弾は、先月開催された「NAMM Show 2013」でも超話題となったシンセ群を中心にお伝えしたいと思います。

少々マニアックな話になるかもしれませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。

MS-20 mini

やはり今回いちばんのお目当ては、この「MS-20 mini」。1978年にコルグ(当時は「京王技研」)さんから発売された「MS-20」を、完璧に再現した「アナログ・シンセサイザー」です。アナログ・シンセサイザーです(大事なことなので二回言いいました)

MS-20と感激の再会

実はワタクシ、生まれて初めて買ったシンセはオリジナルの「MS-20」なんですよ・・たしか当時98000円・・・高校生でMini Moogは買えませんでした。

そんなわけで思い入れたっぷり、懐かしさと期待感、ああ雪が積もらなくてよかったなあ〜といったカンジで少々興奮状態でございました

会場に到着するなり、脇目もふらずに「MS-20 mini」コーナーへ直行。

ありました~

パッと見、オリジナル「MS-20」そのものですね。

取説や箱も当時のまま(京王技研がKORGになってるだけ)。違うのはサイズとMIDI INとUSB端子。ちなみにミニ鍵盤も86%のダウンサイズとのこと。

MS-20の箱。デザインも当時のままですね、サイズも86%なのでしょうか?

肝心の音はどうなんだ?ということで弾いてみることに・・早速MS-20 miniをパッチングして、オシレーターLFOでトリガーさせ、フィルターをグリグリ(何言っているかわからない方、大変申し訳ございません)

あまりの興奮状態でiPhoneを横にして動画撮影することも忘れ、手ブレも全く気にかけず、ひたすらツマミをグリガリゴリ・・・・躍動感あふれる動画で大変ご迷惑をおけけしております・・

「おー・・・涙」

いや、素晴らしい。このフィルター(音色を変えるつまみの部分です)のキレとコク、まさにアナログ(ちなみにオリジナル同様、和音はでませんよ〜)

ところでこのシンセのフィルター。デジタルシンセだと、中には階段状にカクカクぎこちなく変わっていくけしからん機種もあるのですが、MS-20 miniの場合はもう完璧になめらかツルツル。でもサウンドはパワフル。

デモ・ステージでも実演しておりましたが、あまり過激な大音量で鳴らすとスピーカーを飛ばしてしまうので注意しましょう・・というくらいです。(ステージでは様々なアーティストさんのデモンストレーションがあったのですが、残念ながら撮影はN.G.(泣))

2つのオシレーター(音の基本となる波形を発音する部分です)も昔のままでございまして、2つ重ねて音程ずらした時のデチューン(音のズレ:これで音が太く聞こえる)感といったら・・・もうたまりませんね。

自由自在な音作りが可能なパッチング機能

MS-20 miniの全面パネルの右側部分にはたくさんの端子が見えます。

これはパッチング(ケーブルで端子と端子をつなぐこと)といって、自由自在に音色をつくることができるんですね。

MS-20 miniの場合、オリジナル同様にパッチングしなくとも音は出せて、音色も変えられます。しかしこのパッチングを使うと、さらに高度な音色づくりが可能になります(ミニケーブルが10本付属)

例えば、アンプ(音の大きさをコントロールする部分)出力を、入力にパッチングして「フィードバック(発振)」する過激なサウンドや、動画でも試していた、LFO低周波のオシレータ)で発音させて、手弾きでは困難な超ハイスピードのテクノ系フレーズを生み出す・・なんてことができるようになります。ダンス系の方はたまらんですね。

なおミニキーボードは予想に反して(スミマセン)タッチは全く違和感ないです、よくできてるなあ〜これ。

・・・・といった具合にMS-20 miniを触っておりましたところ、株式会社コルグの開発ご担当の坂巻氏にお声をかけられ、まったく自然な流れでしばしMSシンセ談義。

マニュアルも、箱も当時と同じテイストを採用したお話に、シンセに対するこだわりと愛情を感じました。

開発者の西島氏も会場に

しかもオリジナルMS-20の開発者でもある、西島氏にもお話をお伺いできるという幸運。

氏曰く、ワタクシの(怪しい)挙動を背後でご覧になり、すぐに「MS-20」ユーザーとわかったそうです。流石です。写真取らせていただくのも忘れ、またもやシンセ談義。

以下会話の一部分です(なんで動画じゃないんだ・・と私も思います、お許し下さい)

「こ、これ凄いですね、当時と全くそのままですね」
「(ニヤリ)そうなんです、回路も同じですし、部品も当時にかなり近いものを採用しています」
「違いはどこですか?」
「サイズが86%になっているところと、MIDI INとUSB端子が付いているところですね」
「・・ということは外部のMIDIキーボードDAWからコントロールすることができると?」
「イエス、ただし受信できるのはノート・メッセージ(鍵盤のオンオフ)のみでベロシティー(強弱)はありません」
「なんせアナログですからね〜」
「あとオリジナルとの違いを強いて言えば、昔と違って今は部品の精度が高いので音が安定しています」
「ほーお」
「また精度が高いため、フィルター高域がオリジナルより出ます」
「おおー、、では昔とまったく同じにするにはどうしたら良いですか?」
「湿度の高いところに置いとけば、部品が劣化するのでおなじになるかもしれませんね〜ただ壊れても知りませんが(笑)※」

※これは冗談ですので、皆さんは絶対にマネをしないでください
   ・
   ・
以降後30分くらい続くので割愛させていただきます(セリフは少々脚色入ってます)。

しかし、このソフト&デジタル・シンセ全盛の時代に、いや全盛だからこそ、このアナログシンセの登場に意味があるのかもしれませんね。とにかくコルグさんの製品に対する情熱と愛情を感じました。

MS-20 mini 発売は2013年4月中旬
市場予想価格(税込)はなんと¥41800!

こんなに安くて大丈夫なのかなあ、コルグさん、、と余計な心配をしつつも今からワタクシせっせとお小遣いを貯めています。

store.shimamura.co.jp


動画(開発者の西島氏も登場されます)

KingKORG

こちらも注目シンセ。アナログ・モデリングシンセサイザーの「KingKORG(キングコルグ)」。ライブ仕様です、素敵です。

ノコギリ波、矩形波、PCM、DWGS、等々、多彩な音色波形を内蔵しています。ライブ定番サウンドはもちろん、エグいシンセリードもバッチリ。直感的な操作ができるパネル・レイアウトですね。ツマミの質感も素晴らしかったです。


ビンテージ・シンセの・フィルターも再現

KingKORGには18種類のフィルターが内臓されておりますが。なんと、あの「●●ーハ●ム」、「モー●」、「●ロ●ェ●ト5」「●●●●??」といった、いまでは入手困難なビンテージ・シンセのフィルターを再現していものまで搭載されているとのこと。

・・と言うことは、Van HalenのJUMPとか、YMOとか、とにかく往年のヒット曲で聞くことのできたシンセ音色が、バッチリ演奏できるということです。実際、プリセットの9割が、こうした有名曲で使われているシンセ・サウンドを模したものだそうです・・・とハッキリ言いきるKORGさんには好感が持てます。

さて、KingKORGにはコルグさんおなじみチューブ(真空管)も内蔵されています。これは各音色共通パラメータです。リードやエレピ系にはとても効果的だと思います。

細かい所では、リアパネルのKORGのロゴの「R」の部分に小さなLEDが仕込まれておりまして、鍵盤を弾くたびに光ります・・ただそれだけの機能なんですが、非常に芸が細かいです。

CV/GATE端子を装備

KingKORGのリアパネルには、アナログ信号で外部機器をコントロール可能な「CV/GATE OUT端子」が装備されています。

これは電圧制御であるアナログ・シンセサイザー同士で演奏情報(とはいってもMIDIみたいに高度な情報は無理)をやり取りできるものですが、これで同社のmonotribeやMS-20 miniをコントロールすることが可能です。

ちなみにCV/GATE は「Hz/V」と「Oct/V」という方式があります(両者に互換性はなし)。前者を採用していたのがコルグヤマハMoogローランドなどの多くのメーカーは後者でした。

KingKORGのCV/GATEはHz/Vなので、もしKingKORGでmoogのモジュラーを鳴らしたい・・という方は別途CVコンバーター使う必要があります。

大昔は「KORG MS-02」というコンバーターがあったのですが、今では海外のメーカー(KENTON等)や、ガレージメーカーの製品を探すしか無いでしょう。

以上、一部マニアの方にはお喜びいただける情報でございました。

この他にもKingKORGには、ボコーダーアルペジエーター、6タイプ×3系統のマスター・エフェクト等々、まさにライブで威力を発揮する機能満載のシンセサイザーとなっております。うーんこれも欲しいです〜

KingKORGは、2月23日発売
税込販売価格99,800円
を予定しています。

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今回紹介しました新商品は全国の島村楽器で予約受付中!
島村楽器は、みなさんのご来店を心よりお待ちしております。

というわけで、怒涛の新製品ラッシュとなった今回の新製品レポート第一弾はコレにて終了。続きをお楽しみに〜

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