みなさん、こんにちは!イトウです!
新しい楽譜を買って、クールにあの曲を弾きこなしたい!のに、何かしっくりこない。
前はもうちょっといい感じに弾けていたのに!
これは私が下手くそなんじゃなくって、ピアノのせいだーーー!!!
と、やつあたりしちゃったり・・・
ちょっぴりおセンチな気分にもなりやすいですよね・・・・・・
いやいや、ちょっと待ってください、そんなに落ち込まないで!
これ、本当にピアノのせいかもしれないんですよ!!
今お持ちのピアノ、もっと弾きやすくなるかも!
毎年定期的に調律をしているのに、なんだか弾きにくくなった気がする。。。そんな風に
感じている方、いませんか?そのピアノ、「整調」が必要かもしれません!
整調って、何ですか?
ピアノに関する仕事で「調律」という言葉は皆さんも耳にしたことがあると思うので、なんとなく「音を合わせる作業なんだろうな」と想像もできるかと思います。
じゃあ「整調」とは何ぞや?
簡単に言うと、鍵盤のタッチを揃える作業です。
それでは、写真を見ながらご説明しましょう!
「調律」は、下の写真のように、チューニングピンに巻きついている弦の張具合を調整して、正しい音に合わせていく作業です。
弦の張力は1本につき約90㎏です。1台のピアノには230本の弦が張ってあるので、全体で約20tもの力がかかっているんです!
電車の車両を持ち上げられる位の力らしいです!
そんな強い力で引っ張られているので、あまり使用しないピアノであっても、だんだんと弦が緩んできて音が狂ってきてしまいます。
何年も調律をしないでいると、弦が緩んだ状態で癖が付いてしまい、また調律をしても音が安定しづらくなってしまうので、狂いの少ないうちに定期的に調律をしてあげることをお勧めします!
「整調」は鍵盤や、音を出す為にピアノの中で動いているアクションの調整をして、タッチを均一に揃える作業です。
アクションの詳しい説明はコチラ!
タッチ感は一体どうやって作り出されているのかと言いますと、鍵盤の高さや隙間、鍵盤を押してからアクションのパーツが動き出すタイミング、パーツの磨耗具合、よごれや錆、温度や湿度などなど。。。さまざまな事が影響し合って出来ているのです!
湿度や温度で、木やフェルトを使ったパーツは伸縮するし、よく使う音はパーツの消耗が早かったりします。
そうして、段々と全体のバランスが崩れてきて、タッチにもバラつきがでてきてしまうんです。
アクションは外装を外さないと見ることができませんが、外装を外さなくても簡単にチェックできる方法があるので、ちょっと紹介しちゃいます!
鍵盤の高さは揃っている??
でわ、鍵盤の表面を、指の腹を使ってなでてみてください!
どうですか?でこぼこでこぼこしていませんか!?
高さが揃っている鍵盤は、表面をなでると、鍵盤同士の隙間のでこぼこの感覚はありますが、低音側から高音側まですーーーっと平らになっているはずです。
一方、高さが揃っていない鍵盤はと言いますと、なでたときに鍵盤に指がひっかかるような感じがしたり、表面が波打っている様な感覚があるかもしれません。
どうしてこんなにでこぼこしちゃったのかといいますと・・・
鍵盤を外して見てみましょう!
鍵盤の高さは、このパンチングを使って調整しています。
このパンチング、赤いのがクロス、その下にあるものは紙でできています。
先ほどもちらっとお話しましたが、主な原因としてあげられるのは、湿度変化による伸縮の影響と、鍵盤の運動による磨耗です。
鍵盤を押すと、鍵盤の底面とパンチングが接触して、少~しずつ削れてきます。
パンチングの磨耗が激しいところは、その分鍵盤の高さも低くなってきてしまうんですねぇ。
その他の原因として、虫食いなんかもあります!
鍵盤は木ですし、パンチングはクロスと紙なので、虫さんにとっては結構居心地の良い棲家になってしまうんでしょう。。。
これは、定期的に調律の時に調律師に掃除をしてもらったり、ピアノ用の防虫剤を使用したりして予防したいところです!
ピアノの中の虫について詳しい説明はコチラ!
ピアノも生きています!
という具合に、外からは見る事が出来ないピアノの内部でも、色々と変化が起きているのです!
人間も疲れが溜まると、体の色々なところが調子が悪くなったりしますよね。。。
大きな病気になってしまう前に、定期的な健康診断を受けることも大事です!
ピアノも一緒です!
元気に音色を奏でる為に、定期的に調律師に見てもらって、調子を整える「整調」をしてあげましょう!
今回はここまでです。次回の「調律師のとある一日」はヤマザキが担当します。どうぞお楽しみに!
島村楽器ピアノセレクションセンターについて
ピアノセレクションセンターは、専用工房を併設したアコースティックピアノ専門のショールームです。
フロアには、新品・中古ピアノ、アップライト・グランドピアノを合わせて常時100台以上を展示しております。また、専用工房ではピアノの調整・点検・修理を行い、アフターフォローにもお応え致します。
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- Vol.17「鍵盤のメンテナンスと白鍵の修理について」
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- Vol.12「ピアノの仕組み その2 部品の名前」
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