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意外にもけっこうハンドメイド? ピック工場潜入レポート

皆さんこんにちは。
開発担当フジモトです。
前回は世界で一つのデザインピックが作れるオーダーピックをご紹介しましたが、今回はそのピックの製造工場へ足を踏み入れてきましたので、製造過程をレポートしたいと思います。

前回記事:お気に入りの写真でオリジナルピックを作ろう!オーダーピック オーダー編

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ちなみにこの写真は、これまでその工場で受注してきたオーダーピックの数々とのことです。つぶさに見ていくと、ピックオーダーの進化の過程を垣間見ることができます。

それではレポートの前にピックにはどんなものがあるのか?少しご紹介したいと思います。

ピックのマメ知識】

ピックは用途や好みに応じて、素材、型、印刷方式など、多種多様なものがあります。少しここで整理をすることで、ピックに関する疑問を少しでも紐解いていきたいと思います。

ピックシェイプ(形状)

トライアングル

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別名「おにぎり」「おむすび」などと呼ばれる正三角形。

ティアドロップ

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別名「涙型」と呼ばれる二等辺三角形。
ほとんどが上記に大別できますが、それ以外に下記のようなジャズ系の他、ハート型やホームベース型などがあります。
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ピックの厚さ

複数のピックを奏法や好みによって使い分ける方がいるくらい、ピックの厚み(硬さ)や 型が演奏に及ぼす影響は少なくありません。一般にストローク奏法は柔らかめで、メロディーやリードギターなどの単音弾きには硬めのピックが向いています。

ピック素材

セルロイド(セルロース)が主流ですが、他にもポリアセタール、ナイロン、塩ビ、ウルテムなどがあり、各々弾き心地や音質が変わります。

印刷

一般的なのは、ホットスタンプ(箔押し)方式です。これは元々ピックがギターメーカーから販売されていたものが中心で、ブランドロゴや文字入れに適していたからと言えます。今回紹介の工場では、画像やフルカラーのイラストなどをインクジェット方式で印刷することが可能です。

それではさっそく製造過程を動画と共に紹介していきたいと思います。

1.原版から型抜きまで

ピックの素材となる原版から、ピックの形を作るまでをご覧ください。
まず、畳半分くらいの大きさの原版をピックの型に打ち抜く機械に通せるようにするため短冊状にカットします。その後、ピックの型をくり抜いていきます。動画ではティアドロップの型を抜いています。

2.ピックの研磨

ピックの研磨作業は、、、なんと1日3工程の研磨を一週間かけて行います。こうした地道な作業をくり返すことで、ピック外周にバリのない高品質なピックに仕上がるんですね。

3.フィンガーピック製造

次にフィンガーピックの製造工程をご紹介します。最初は平らなピック素材を熱湯容器の中に運び、熱で柔らかくしたのち湾曲させます。その状態のままさらに型をつけて時間をおくことで、指が通る形に仕上げます。指の太さに合わせて広げる等の微調整も可能です。

4.ホットスタンプ印刷

熱を使って印刷する熱転写といわれる方式です。印刷にはリボンと呼ばれる帯状になったインクカートリッジが使われます。また、印刷時に使われる版は亜鉛でできているものが主流です。原版がどんなものかは動画でも確認いただけます。また、動画の最後には「インクジェット方式」のイラストデザイン風景も出てきます。ここでのデザインがピックにそのまま印刷されます。写真やカラフルなデザインに向いています。

5.検品作業

実は、動画には入っていませんが、印刷の前に「検品」を行う重要なセクションがあります。検品は複数人数で目視&触れたりして行います。
主な検品ポイントは「変形」「キズ」で、このセクションで ①印刷に回す②廃棄 を選り分けています。やはり仕上がり具合は機械での判定は難しく、人でなければダメなんですね。
・・・こうした流れを経て、最高の仕上りのピックが作られていきます。

人気急上昇なインクジェットのススメ

ピックの印刷は、ロゴや線画イラストの印刷に向いているホットスタンプが主流ですが、最近ではデザインの自由度が高いインクジェットも人気を博しています。
特にバレンタインや誕生日のプレゼント、また結婚記念や引き出物にも効果抜群の破壊力です☆
また、インクジェット方式なら、例えばスマホに入っているお気に入り画像をそのままピックにすることも可能です。
名刺代わり&宣伝に最適なオリジナルピックを、バンド用/個人用として活用していただければ幸いです。
・・・ご興味がありましたら、島村楽器の店頭にてお尋ねください。

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